
久々にスカッとするニュースが入ってきました!
大手寿司チェーンの「すしざんまい」の木村清社長が、ソマリアの海賊をマグロ漁師に転身させ、ソマリア沖での海賊被害”ゼロ”に貢献されました。
ソマリアの隣国「ジブチ」政府はその功績を認め、同氏に勲章を授与しております。
毎年1月に築地の中央卸売市場での初競りで、マグロを最高値で落札し話題になっている、あの社長さんです。
豪快なイメージがある木村社長ですが、海賊を仲間にしちゃうなんてスケールでかいですね!
まさに実写版「海賊王」じゃないですか?
本件、問題の本質を理解し、みながWin-Winな状態にビジネスを通じて導いた見事な事例です。
これこそビジネスの醍醐味!
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そもそもソマリア沖の海賊問題とは?
ソマリア沖の海賊とは、アデン湾とインド洋のソマリア周辺海域で発生し国際海運の障害となっている海賊。1990年代初期にソマリア内戦が始まった頃から目立つようになり、近年に活動が活発化して、スエズ運河・紅海を経由し地中海とインド洋を往来する年間約2万隻の商船にとって大きな脅威となっている。
引用: Wikipedia – 『ソマリア沖の海賊』
ソマリアはアフリカ東部にあり、海に突き出すような形をした国です。
1980年に内戦が勃発し、政府が存在しない状態(無政府)になってしまいます。法律が存在しないので、無法地帯化します。
そして、問題となったのがソマリア沿岸での海賊行為です。あまりにも海賊が多くなってしまったため、各国は協力して軍艦を派遣します。
日本政府もこの海賊行為の対処のため、海上自衛隊を派遣しております。
その甲斐あって、ソマリア沖の海賊被害は2013年頃になると激減しました。
(尚、2012年に正式な政府「ソマリア連邦共和国」が誕生しました。)
ビジネス力で問題解決!相手のふところに飛び込んだ!
問題の本質を理解するためには、当事者それぞれの立場、言い分を理解しなくてはなりません。
相手の立場になって、相手の悩みを知ることが必要です。
海賊たちの立場
海賊といっても、色々な海賊がいます。
私利私欲のために略奪行為に及んでいる海賊もいます。
しかし、貧しさ故に仕方なく海賊になった元漁師の海賊も多くいます。
国を追われ、生きていくためには海賊にならざるを得なかったわけです。
「すしざんまい」木村社長の視点
いいマグロを仕入れたい、それも継続的に。
良い仕入れ先開拓は会社経営にとって最重要課題です。

そこで、木村社長はソマリアの沖に目を付けます。実は、キハダマグロのいい漁場なのです。
しかし海賊行為多発地帯で、ビジネスをするにはあまりにもリスクが大きすぎました。
ただ上述の通り、各国の軍艦のおかげで海賊被害が減少していき、2011年には166件だった被害件数は、2012年に32件に!
そうした中、経営者の木村社長が動くわけです。
格言「魚を与えれば一日の飢えをしのげるが、魚の釣りかたを教えれば一生の食を満たせる」
有名な格言です。
中国の古典の教えですが今回、木村社長が海賊に教えたのは魚の釣りかたです。
海賊たちとの対話の場を設け、彼らの本音を聞き出します。
そして、マグロ漁の方法や必要道具・設備を提供!
そして、海賊たちに
「これからは海賊行為ではなくマグロ漁で生活稼げ!」
と説得!

肝っ玉すわっておりますねー。
なんでも木村社長は、パイロットを目指し自衛隊に6年間、入隊されていた経歴をお持ちです。
しかし事故にて目を患い、パイロットを断念。大学卒業後、職を転々とし事業清算なども経験され、紆余曲折を経て、2001年に「すしざんまい」を開店されました。
もう、圧倒的な行動派なのですね。
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経済援助よりビジネスが求められる!
今回のケース、
- 海賊も生活の糧を得て「Win」!
- すしざんまいも今後、いいマグロを仕入れることができそうで「Win」!
- 政府も、海賊行為が無くなって「Win」!
のスリーWinですよね。
木村社長の漁業支援交渉という名のビジネス力が見事発揮された好例です!
会社の株は上がるでしょうし、広告効果も抜群でしょう。
木村社長、あっぱれ!! です。
「経済援助よりビジネス」という考え。
「マザーハウス」社長の山口絵理子さんのやっていることに通ずるものがありますよね。
書籍「裸でも生きる: 25歳女性起業家の号泣戦記」で有名になった山口さん。
当時のアジア最貧国のバングラディッシュでカバン工場を作り、そのカバンが日本へ販売されております。
経済援助も勿論、大切ですし必要でしょう。しかし、お金を本当に必要としている人に届かない問題があります。
それにお金(=魚)は使って(=食べて)しまえば無くなってしまう。
でも、お金(=魚)の稼ぎ方(=釣り方)を教えてあげれば、困りません。
それができるのは、やはり「ビジネス」だと思うのです ~☆